この世界の平和を本気で願ってるブログ

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高木紗友希さんのグループ活動休止に関する、アップフロントプロモーション代表取締役西口猛さんへの公開書簡

初めまして。貴事務所の所属アイドルの処遇について疑問があり、この度公開書簡という形でお問い合わせさせていただきます。

 

高木紗友希のJuice=Juice脱退の理由について、西口さんは下記のように書いています。

 

ハロー!プロジェクトのメンバーとして、自覚を欠いていると総合的に判断し、
今回の結論に至りました」

 

「自覚を欠いている」のはどういうことか、というのは具体的には書かれておりませんが、状況を鑑みるに、次のように文意が推察されます。すなわち、高木さんはハロー!プロジェクトに所属するアイドルでありながら、恋人を持ち、半同棲の状態にあったので、同メンバーとして「自覚を欠いている」という意味でしょう。

 

確かに、日本の世間一般のアイドル像から言えば、アイドルが恋愛をすることはご法度です。その観点においては、今回の西口さんの対応は常識的なものです。

 

しかし、あることが常識にかなっていることは、それが正しいことを必ずしも意味しません。むしろ、正しいことをなすためには、時には常識を疑い、それに逆らわなくてはなりません。まさに今がそのときなのではないでしょうか。

 

高木紗友希さんがJuice=Juiceを辞めるという対応は、アイドルは恋愛してはならないというルールは、果たして正しいのでしょうか?

 

そもそもアイドルが恋愛をすることのどこが問題なのでしょうか。アイドル(商品)とファン(消費者)が疑似恋愛的な関係で結ばれており、アイドルがプライベートで恋愛することによってその関係が崩れるという前提が成立するのであれば、商品の価値を維持するために事務所(店主)アイドルの恋愛を禁ずることの経済的合理性は理解できます。

 

しかし、西口さんも良くご存知だと思いますが、現実に生きているアイドルとファンの関係性はより複雑で多様です。アイドルとファンの関係性は、疑似恋愛以外にも、疑似親子、神と信者、選手と応援団等、様々な様式を取ります。アイドルのプライベートの自由恋愛によってその全てが崩壊し、ファンが去っていくかと言えば、そうはならないでしょう。

 

アイドルが恋愛することがファンに全く影響を与えないとは言いません。それを快く思わない人もいれば、喜ぶ人もいるし、全く意に介さない人もいると思います。

 

ただ、その程度のファンの反応は、別に恋愛ゴシップでなくとも、例えばハロコンの編成や、グループ新体制発表や、メンバーの髪型の変更等、アイドルの「通常業務」で起こりうる範疇のものではないでしょうか。そうであれば、殊更自由恋愛による顧客への影響を重く見て、自由恋愛を禁止するというのは、いささかナンセンスなのではないでしょうか。

 

それでも恋愛禁止のルールを維持しなければならないと西口さんが考えるのであれば、それは合理性の枠を超えた伝統的・文化的・情緒的な理由であると言わざるを得ません。夢を売るアイドルはその裏側(プライベート)を見せてはいけないという不文律。これまで恋愛禁止でやってきたアイドル達に示しがつかなくなるという先例主義。恋愛はパフォーマンスの研鑽の妨げになるという精神論。「恋愛禁止ルール」は説得的で透明性のある制度というよりは、こうした慣習的な決まり事が無言の圧力となって結晶化したものなのではないでしょうか。

 

むろん、慣習だからといって簡単に打ち捨てられるものとは思いません。しかし、西口さんはそうした慣習を守るために、高木紗友希さんのキャリアと人生を大きく狂わせています。「恋愛禁止」という決まり事と、高木紗友希さんという人間のどちらを守るべきか、答えは明白ではないでしょうか。

 

これも西口さんはよくご存知のはずだと思いますが、高木紗友希さんは現役ハロプロメンバーの中でもトップレベルのキャリアの長さを誇ります。ハロプロエッグ時代から弛まぬ努力を積み重ね、錚々たる面々の中から研修生ユニットのメンバー入りを勝ち取り、Juice=Juiceとしてデビューしてからもレベルアップを続け、今や押しも押されぬ実力者としてハロー!プロジェクトに君臨しています。高木さんの圧倒的なスキルとパフォーマンス、それを作り上げてきた努力、そして何よりその努力に捧げた11年という年月が、彼女のアイドルという職業への「自覚」を物語っています。

 

そんな高木さんのこれまでを一蹴し、恋愛禁止ルールの名の下に「自覚がない」と断罪することは、彼女の生き様に対する侮辱です。同時にそれは過去の、現在の、そして未来のハロプロメンバーのパフォーマンスへの思いに対する侮辱です。なぜなら、それは所属アイドルに対して、「この先どんなに優れたパフォーマーになろうが、恋愛をした瞬間に君たちは無価値になる」と宣言していることに他ならないからです。

 

私はハロー!プロジェクトのメンバーのパフォーマンスが大好きです。彼女たちが歌う歌が大好きです。アイドルという多くの枷を負わされた存在でありながら、自由を称揚し、力強く歌い踊る姿が大好きです。

 

私はアイドルという産業に多くの疑問を抱きつつも、所属アイドルを応援したいという気持ちと、「ハロプロなら所属アイドルを大切に扱っているだろう」という期待から、アップフロントプロモーションの活動を見守ってきました。

 

しかし、恋愛禁止ルールを理由に、高木さんを突然グループから脱退させるという処分は、アップフロントに対する私の信頼を不可逆的に損なうものです。むしろ私はこの処分にこそ裏切られたと感じています。同様に思っているハロプロファンも少なくないのではないか、と定かではないものの思っています。

 

今回の件に関して、「守るべきは高木個人よりもハロー全体」という声を見かけました。西口さんももしかするとこのような考えの下で処分を下されたのかもしれません。しかし一ファンとして申し上げるならば、私は「メンバー一人一人を大切にするハロー!プロジェクト」を応援していたのであり、今回の処分はその哲学と真っ向から反するものとしか思えません。

 

ハロプロメンバーが大好きなファンのためを思うのであれば。ハロプロを成立させているメンバーの努力を思うのであれば。そして何よりハロプロに半生を捧げた高木紗友希さんを思うのであれば。今回の謝罪文を撤回してください。また、高木さん本人がそれを望むのであれば、Juice=Juiceのメンバーとして活動を継続することを認めてください。そして、時代遅れで誰も幸せにしない恋愛禁止ルールを撤廃してください。